2011/01/24

L'egypte de Keiichi Tahara


先日手に入れた田原桂一さんのL'egypte du Keiichi Taharaをとても気に入っている。あまり物を買わないし入手願望の少ない私が1度見て気になって、家に帰ってもやはり気になって、2度古本屋に行ってしまうほど、魅力的だった。実は他の古本屋で、偶然気になっていた庭園美術館の展覧会図録も、田原さんの「光の彫刻」展のものだった。

写真だけでなく、彫刻やインスタレーションで光の表現を追求されているアーティストの方で、私もこのL'egypteはエジプトを題材にしているからと言うよりは、その神殿の柱と柱の間に出来る影や、クローズアップされた彫刻のザラッとした表面にあたる光の写し方に、まず心惹かれた。

アルフレッド・スティーグリッツやジョージア・オキーフに通ずるような、モノの本質を捉えて余計なものは削ぎ落としていく感覚が私にとってはとても魅力で、今後もこの田原さんの動向は要チェック極まりないと思っている。何気なく行った古本屋で心に鐘が響きわたる様なものに出会うと言うのはまず嬉しいし、やはりスタンド使いはスタンド使いとひかれあう、じゃないけど運命を感じますよね。

2011/01/19

Flora of Nepal






東京大学総合研究博物館にて「ヒマラヤ・ホットスポット」の展示。特にヒマラヤ山脈の植物研究に興味があった訳ではないのですが、この博物館自体に興味を持ち赴きました。でも、すぐに気に入りましたここの博物館。

平日の昼間にここに来る人はそうは居なく、ひとりガランとした展示をコツコツとゆっくり歩く。途中の古人骨のコレクションには、正直言って恐ろしさが先行してしまい、これじゃ発掘は出来ないなぁと、肝っ玉の小ささを少し残念に思う。博物館の意図は、出土した骨から性別や骨格や年齢をどう見分けるか、の基礎知識を知ってもらう所にあったそうなので、帰りは人も数人居た事だし、少しゆっくりきちんと見る。うーん、しかししゃれこうべがあそこまで並んでいると、やはりもの凄い迫力です。

そして、ヒマラヤ・スポット。キュレーターの方か、係の方で上品なご婦人が1人居て、しきりに歩き回ってはアルコール漬けの植物のビンとその説明を見て、感心した様な声を出しておられる。私は何がそんなに感心するのかとその方が別の場所に行ったあと同じ植物をよく見るが、全然分からない。きっと彼女にとってはこれは最高にハッとさせられるモノなんだろうな、とそっちの方に興味がわく。

2011/01/11

number19


cell nucleus empty space



自分の中に一部屋、閉め切った実験室の様な、趣味で埋め尽くされた様な、驚異の部屋がある(と思っている)のだけど、そこにばかり籠るのもひとつの手ではあると思う。そこから生まれるもの、または生まれる過程を見て熱中する事はとても幸せで、十分満足の行く事であるから。

が、そろそろもう一部屋を増築してみる手もあるなと思う。そこは開放して、海から吹いてくる風、野山から吹いてくる風、田舎や都会の、ゴミやきらびやかな空気を通り抜けてくる風、または太古から未来から吹いてくる風、が好きなように渦巻き吹き抜けて行く様な、そういう一部屋を用意するのは、文字通り器を拡げる事にきっとなるのでしょうね。

...なんのこっちゃって感じですよね。モノを創るための心持ちの話です。