2010/06/25

Open Field



念願中の念願、ジェームズ・タレルの作品のある地中美術館に
偶然、行く事が出来てすごく嬉しかった!

地中美術館は香川県の直島という所にあって、
直島それ自体がアートスペースのような、ものすごくこ綺麗な島であった。

港に草間弥生の赤いカボチャがどんとあったり、
旅人も気のせいか美大生ティックな人が結構居た。

地中美術館の作品数はもの凄く少ないけれど、
建物自体が安藤忠雄の設計で
ひとつひとつの作品に、それにぴったりの額縁の様に
しかるべき広さの空間を贅沢に与えて、全体が作品!という様な美術館。

ツメの甘さが極度に無くて、その点が異空間感をすごく出していた。
ずっと居たら、頭がおかしくなりそうだなと思うくらい。
救いは、結構おじちゃんおばちゃんがズカズカと鑑賞している現実か。

真っ白の部屋のモネは本当に綺麗で、おお美しい!と興奮したのですが
ちょっと松っちゃんの「しんぼる」を思い出してしまった。

それで、ジェームズ・タレルなんですが、これまた不思議なもので!

上の写真の「オープン・フィールド」と言う作品があって、
このブルーの部分が光で演出された平面かと思いきや
ずうっと奥まで空間が広がっているんですよ。
中は全くの青い光に包まれていて、空気まで青いんじゃないかと思うくらい。
それは、本当に憧れの空間でした。

定員が8名で、おじちゃん達と一緒に入ったのだけど
「はっはー、これは発見ですなあ。」とか
「やっぱり知恵のある人は違いますなあ」とか、
その異空間をぶち壊す大声でしゃべっているのがこれまた救いであった。
あげくの果て、美術館の人と間違われたので、ちゃっかり案内をして差し上げたり。

この作品には2回行ったのですが
1度目は平面だと思っていた空間に入れると言う事が
もの凄く夢の様に不思議で驚いたのですが、
2度目はもう、その奥に空間のある事を知っているので
平面にはどう見ても感じられなく、感動が薄くなってしまった。

なので、行ってみようと思う方はこれを読まない方が良いですね!

2010/06/17

MINGUSS Photo



先日、写真家の坂本正郁さんと
今度のアーティスト・イメージ写真の光具合などを試すリハーサルをしたところ
思わぬ面白い絵が次第にどんどん出て来て、非常に楽しかったです。
これはそんな中の、一枚。

そんなに撮るとは思わず、私は自分でやったテキトーなお化粧しかしてなかったので
というか日焼け止めくらいしか普段は塗らないので
ちょっと不意打ちだなと思いつつも何も隠せる術も無く、
でもとても面白い時間を過ごしました。

良い感じの瞬間は再現出来ない、と言うのは写真も同じなんですねえ!

本番はこれがビルドアップされる事でしょう!

2010/06/13

ワン・フォはいかにして助けられたか



ルネ・ラルー監督作品の「ワン・フォはいかにして助けられたか」は
フランスの女流作家のマルグリット・ユルスナールの
「老絵師の行方」が原作であると言う事で読んでみたら
言葉の瑞々しさと鮮やかさに驚いて、2度読みをしてしまった。

映画以上に美しい世界だった。
とても短い小説なのですぐに読めると思う。

映画は言葉もシーンも
とてもエッセンスに気を付けて選んだ感じで粋なのだけど
この原作の文章の瑞々しさには驚いた。
言葉の間を水が流れている様で。
言葉のプロはこうなのか。

酒場の人々の表情を好む老絵師のくだりはすごく良い。

ただ、映画の最後のシーンの無音の大河の中での
(老絵師の描いた大河に入り込む、と言う設定なのだけど)
死んだはずの弟子リンの穏やかな声は、
不思議な話の展開の中で妙に際立って、印象に残る。

想像の余地のあるすごく綺麗な物語だけど
子供にはどうなのかなあ・・。
残酷なシーンがサラッと描かれたりするので。
小学生以上ならいいかな。

2010/06/09

Jeff Mills [escapism]



Facebookでのジェフのコメント和訳を、そのままコピーさせてもらいました。
和訳は門井隆盛さんです。

ジェフ独特の難しめの言い回しですが、
テクノは「実験的で、未来的で、人類共通の目的を持った音楽」
だという所が、ジェフが宇宙人では無い肝心な証拠。

「テクノミュージックにおけるエスケイピズム(逃避主義)については、
まったく動きがないまま、
あまり本質的ではない理解が広がってしまったため、
現在私たちが受け入れている感想に行き着いている。

この音楽(=テクノ)は十分に考えてつくられているものではない、
あるいは理由または目的を持たないという観念が「沈黙の暗殺者」となり、
実験的で、未来的で、
人類共通の目的を持った音楽であるという事実を遠ざけてきた。

テクノがたゆまない進化を遂げ、生き抜いてきた音楽であるという
少数意見は 完全に無視されてきた。
もちろん、DJの世界や
エレクトロニックミュージックカルチャーにおいては、多少認識されてはいた。
しかし、それは世間で十分な注目を集めていることではない。

エレクトロニックダンスミュージックは輝かしい文化である。
しかし、本来の意図や音楽やアーティストたちの意味を
知らしめる事に失敗してきたのかもしれない。

テクノミュージックを生業としている者として証言できるが、
「テクノミュージックとはいったいなんなのか」
という質問をされたことはない。

これは、理解することなしに聴かれてきたという事実を
証明することではないだろうか。

しかも、ただ受け入れられただけではなく、
完全にその事実を飲み込んでしまっているのではないか。

このジャンル誕生から30年が経った今でも、
私たちはそれに対して何もしてこなかったのではないだろうか。」

−ジェフ・ミルズ

2010/06/04

Keep Thinking



小沢牧子著の「心の専門家はいらない」を読んだ。

河合隼雄さんの著書が好きで、沢山読んでいた身としては
むむ、そうか・・と一抹の切なさを感じてしまう内容であったけれど
納得の行くものがあった。
オザケンも、母の考えを引き継いでいるなあ。

簡単に内容をまとめてみると、
「心理カウンセラー」が「心のケア」をするという「制度」
に対して危険視をすると言う事と、
「カウンセリング」という技術に対しての疑問。
そして、制度に頼らない為にはどうして行くべきか、
等がとても分かり易く書かれている。

カウンセリングの疑問点と言うのは、現実にある問題を、
その人個人の心の問題にすり替えてしまう所にある、と言っている。

その人がそうなってしまった本当の原因がどこにあるのか、
それをどうしたら解決していけるのかと考えると
「カウンセラーとカウンセリングを受ける人」の間だけで解決できるものではなく
ましてや、本人の心の中にのみ原因が潜むとしてしまうのは
見なければいけないものに蓋をする様なものかもしれない。

もっと、きめ細かで整理された意見や事例などは、
直接本を読んでみて下さい。

写真は、横浜大さん橋のSubzeroというレストランの入り口。
素晴らしく綺麗な青!!
この青い光に囲まれたくて行ったのだけど、高級だったなあ。
夜はテーブルチャージがつくそうなので、カウンターにしたけど
カウンターの方が贅沢な眺めでした。